第4号(最終号): 特集「記憶」(Special Issue: The Commemoration)
2002年、ピエール・ブルデューが亡くなった。2003年、エドワード・サイードが亡くなった。 2004年、ジャック・デリダが亡くなった。2005年、ポール・リクールが亡くなった。 方法論懇話会の議論において重要な理論を提供してくれた(くれている)先達が、 構築主義や記憶に関する議論の推移とともに相次いで亡くなり、 例会の場においても、記憶などの議論とともに彼らの死の意味について語り合う場面が散見された。 死による一時的な注目(再記憶化)と、その後の急速な忘却を、記憶に関する議論をしながら目の当たりにすることができたのは、 もしかすると不幸中の幸いと言うべきなのかもしれないが、 いずれにせよ「一時代の終わり」のようなものを痛感せざるを得なかった。 …方法論懇話会の会としての活動は、本誌の発行を機にこれからしばらく停止状態になる。 とは言え、方法論に関する議論をやめるわけでは決してない。 同じような議論を繰り返すのではなく、より高い達成を獲得するための休息と基礎体力作りをするのである。 いずれまた、機が熟せば、本誌『GYRATIVA』も転回ならぬ展開を再開することであろう。 その日が来ることを信じて、とりあえず筆をおくこことしたい。(師茂樹「「記憶を書き出す ―総括にかえて―」より) 目次と概要稲城正己「問題提起 構築/解体:記憶/忘却 ―構築主義と記憶論―」(INAGI Masami. Addressing the Issues.) 土居浩「「記憶」の居場所」(DOI Hiroshi. Location of “kioku” (Memory) in Cultural Space for Contemporary Japan.) 三浦宏文「記憶という知識 ―時間論からのアプローチ―」(MIURA Hirofumi. Memory and Knowledge: an Approach Based on the Theory of Time.) 内藤亮「造寺縁起研究の物語論的転回」(NAITO Ryo. Narratological Revolution in the Study of Temple's Transmission.) 須田努「人斬りの村から―19世紀、民衆運動における暴力の語りと集団記憶―」(SUDA Tsutomu. From the Village of the Murderer: In the 19th Century, a Narrative of Violent and the Group Memory in Case of Popular Struggle.) 師茂樹「記憶を書き出す ―総括にかえて―」(MORO Shigeki. Concluding Remarks.) |
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